イネフィトアレキシン研究の歴史

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この他にもフィトアレキシン蓄積誘導に関わるシグナル伝達経路などについては重要な研究が多くありますが,ここでは物質とその生合成に関する研究に絞ってまとめてあります.

その他のイネのフィトアレキシンに関係する論文のリストはこちらをご覧ください.

  • 1908 朝比奈(東大)(朝比奈 1908; Asahina 1908
    • ソメイヨシノ(吉野桜)の樹皮に存在する配糖体サクラニンのアグリコンとしてサクラネチンを単離.
  • 1927 朝比奈ら(朝比奈ら 1927
    • サクラネチンの化学構造の決定.
  • 1958 植原(広島農業短大)(植原 1958
    • イネ葉片付傷部へのいもち病菌胞子接種により,付傷部に抗菌活性物質の蓄積が起こることを発見.
  • 1973 Kato(東北大)ら(Kato et al. 1973
    • イネ籾殻に含まれる植物生長阻害活性物質としてモミラクトン A, B を単離・構造決定.
  • 1977 Cartwright (Shell) ら(Cartwright et al. 1977; Cartwright et al. 1981
    • 植物抵抗性誘導剤 WL-28325 を処理したイネにいもち病菌を接種したときにモミラクトン A, B がフィトアレキシンとして蓄積することを発見.
  • 1983-5 Akatsuka(茨城大)ら(Akatsuka et al. 1983; Kono et al. 1984; Akatsuka et al. 1985; Kono et al. 1985
    • いもち病罹病イネ葉からフィトアレキシンとしてオリザレキシン A, B, C を単離・構造決定.
  • 1985 Mori(東大)ら(Mori & Waku 1985
    • オリザレキシン A, B, C およびそれらの鏡像体の化学合成.
  • 1986 Akatsuka ら(Sekido et al. 1986
    • いもち病罹病イネ葉からフィトアレキシンとしてオリザレキシン D を単離・構造決定.
  • 1992-3 Kodama(茨城大)ら(Kodama et al. 1992a; Tamogami et al. 1993; Kodama et al. 1992b
    • 紫外線照射イネ葉からフィトアレキシンとしてオリザレキシン S,サクラネチンを単離・構造決定.
  • 1993-4 Kodama ら(Kato et al. 1993; Kato et al. 1994
    • 紫外線照射イネ葉からフィトアレキシンとしてオリザレキシン E, F を単離・構造決定.
  • 1995 Koga(明治製菓)ら(Koga et al. 1995
    • 紋枯病菌接種イネ葉鞘からフィトアレキシンとしてファイトカサン A, B, C, D を単離・構造決定.
  • 1997 Koga ら(Koga et al. 1997
    • ジャガイモ疫病菌由来エリシター処理したイネ培養細胞からフィトアレキシンとしてファイトカサン E を単離・構造決定.
  • 2000 Yajima(東京理科大)ら(Yajima & Mori 2000
    • (-)-ファイトカサン D の化学合成および天然ファイトカサン類の絶対立体配置の決定.
  • 2002 Deslongchamps(Sherbrooke 大)ら(Germain & Deslongchamps 2002
    • (±)-モミラクトン A の化学合成.
  • 2002 Kato-Noguchi(香川大)ら(Kato-Noguchi et al. 2002
    • イネの根浸出液からアレロパシー物質としてモミラクトン B を同定.
  • 2004-7 Toyomasu(山形大)・Yamane(東大)ら,Peters(アイオワ州立大)ら(Otomo et al. 2004a; Otomo et al. 2004b; Xu et al. 2004; Wilderman et al. 2004; Cho et al. 2004; Prisic et al. 2004; Nemoto et al. 2004; Kanno et al. 2006; Xu et al. 2007
    • モミラクトン類,オリザレキシン類,ファイトカサン類の生合成に関与するジテルペン環化酵素遺伝子を同定.
  • 2007 Yamane ら(Shimura et al. 2007
    • イネ 4 番染色体上にモミラクトン類の生合成遺伝子クラスターを発見.
  • 2007 Nozaki(岡山理科大)ら(Nozaki et al. 2007
    • ハイゴケからアレロパシー物質としてモミラクトン A, B を同定
  • 2009 Peters ら(Swaminathan et al. 2009
    • イネ 2 番染色体上にファイトカサン類の生合成遺伝子クラスターを発見.
  • 2012 Okada(東大)ら(Shimizu et al. 2012
    • サクラネチン生合成の最終段階を触媒する酵素ナリンゲニン 7-O-メチルトランスフェラーゼ遺伝子を同定.
  • 2013 Hasegawa(茨城大)ら(Inoue et al. 2013
    • 紫外線照射イネ葉からフィトアレキシンとして ent-10-オキソデプレッシンを単離・構造決定.
  • 2014 Lee・Cho(慶熙大)ら(Park et al. 2014
    • 紫外線照射イネ葉から抗菌活性化合物として N-ベンゾイルトリプタミンおよび N-シンナモイルトリプタミンを同定.
  • 2015 Hasegawa ら(Horie et al. 2015
    • 紫外線照射イネ葉からフィトアレキシンとしてファイトカサン F を単離・構造決定.
  • 2016 Hasegawa ら(Horie et al. 2016
    • いもち病菌感染イネ葉での N-ベンゾイルトリプタミンと N-シンナモイルトリプタミンの蓄積を確認し,フィトアレキシンとして同定.
  • 2018 Ishihara(鳥取大)ら(Morimoto et al. 2018
    • ごま葉枯病菌,白葉枯病菌感染イネ葉から N-シンナモイルセロトニン,N-p-クマロイルセロトニン,N-フェルロイルセロトニン,N-ベンゾイルセロトニン,N-シンナモイルチラミン,N-ベンゾイルチラミンをフィトアレキシンとして同定.
  • 2020 Ishihara ら(Kariya et al. 2020
    • 紫外線照射イネ葉からフィトアレキシンとしてファイトカサン G,オリザラクトンを単離・構造決定.
  • 2020-1 Luo(華中農業大)ら,Wang(四川農業大)・Peters ら(Zhan et al. 2020; Liang et al. 2021
    • イネ 7 番染色体上に ent-10-オキソデプレッシンの生合成遺伝子クラスターを発見.